
近年、IT分野の人材不足が深刻化しており、各企業とも優秀な人材を求めて多くの求人募集を行なっています。一方で、ITエンジニアの方も、より給与待遇が良い会社へ転職したいと考える人は少なくありません。
中には、「IT業界では転職する度に年収が上がる」という意見さえ見受けられます。実際のところ、ITエンジニアは転職することで確実に年収が上がるのでしょうか?また、平均的な年収アップの額はどの程度なのでしょうか?
年収アップのカギは「スキル」
転職を成功させるためには、募集を行なっている企業が求めるスキルを持っていることが絶対条件です。ですから、ITエンジニアとしての経験が浅く、主要なプロジェクトで働いたことがないような場合には、好条件の年収を提示されることはまずないと言ってよいでしょう。
実際、大幅な年収アップを勝ち取っているのは、20代後半から30代後半のITエンジニアがほとんどで、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーの経験がある人、もしくはプログラマとしてシステム開発の現場ですでに活躍している人が中心となっています。
ですから、「転職すれば年収が自動的に上がる」という言葉は、鵜呑みにしない方が賢明です。
平均的には年収が50万円から70万円程度アップ
給与アップに成功した人たちのデータ統計を見ると、平均的な昇給額は年間で50万円から70万円程度となっています。ただし、「実力はあったものの、以前に在籍していた会社の業績が余りにも悪かった」というケースでは、年収が100万円以上アップしたという例もあります。
また、国内のIT企業から外資系企業へ転職する場合にも、大幅な給与アップを勝ち取るケースが見られます。ただし、外資系の場合は成果を短期間で残すことが求められるため、そのプレッシャーに耐えられずにまた別の仕事を探すことになった、という事例も散見されます。
キャリアパスをよく考えて転職するかどうか見極めよう
エンジニアとしての仕事を学んでいる人であれば、安定したキャリアパスを形成するためにも、仕事を一通り覚えるまで転職をしないのも賢明な選択と言えるでしょう。中途半端な状態で、別の会社へ移ってしまうと、きちんとした技術を身に付けられないだけでなく、あまり高い評価を受けることもなく、結果として年収がダウンしてしまうこともありえるからです。
IT分野は「スキル」や「知識」、「経験」が大きな武器になりますから、「続けるべきか?」「転職するべきか?」をしっかりと見極めることが大切です。